頭の中の小さな引き出し

思ったことを書きます。たぶんほとんど更新しません。

#ブバブボ 「Birthday Party feat.月ノ美兎」がヤバすぎたので考察

私のブログへようこそ。

まずは落ち着いて欲しい。

うん、「また」なんだ。

済まない。

またもや我らのピーナッツくんが素晴らしいアルバムをリリースしてしまったんだ。

というわけでさる6月14日、ピーナッツくんによる新アルバム「Brad Bag Brain Bom」の配信が開始されました。

略称は「ブバブボ」です。

今回も素晴らしい曲が揃っているのですが、中でも私が心を奪われたのは10曲目の「Birthday Party」です。

音楽としての「Birthday Party」

ゲストとしてにじさんじ所属のVtuber月ノ美兎」さん(以下、委員長)を迎えたこの曲には、様々なテクニックが用いられています。

まず、イントロからノリの良いドラムンベース調のサウンドで聴き手の耳にアプローチしています。

そして00:12秒の委員長自身による「月ノ美兎」という名乗りによって、意識を曲の中にグッと惹き付けることに成功しています。

この「名乗り」の直前にはPCのエラー音が鳴り響き、さらにその後トラックが無音になります。

この箇所で、私の脳裏には「何も無いPC画面にいきなり委員長が現れた」というようなイメージが浮かびました。

また、ボーカル全体にかかっている浮遊感のあるエフェクトも曲の雰囲気作りに一役買っています。

フックの部分では「キシキシ」とベットが軋むような音(bed squeak)が鳴り続けています。

これはジャージークラブと呼ばれる楽曲のスタイルであり、現在世界的に流行しているジャンルです。

最近ではCreepy Nutsの楽曲「Bling-Bang-Bang-Born」に採用されていたことでも話題となりました。 (あれ?そういえばこの曲も"ナッツ"で"BBBB"だな…)

このようなトレンドをしっかり押さえつつ、「ピーナッツくん×月ノ美兎」でしか表現出来ない色を出しているのが「Birthday Party」という曲なのです。

歌詞を考察してみる

Birthday Partyの歌詞はかなり意味深なものとなっており、SNSでも考察を試みている人を見かけました。

こちらがその歌詞です。

(月ノ美兎)

未体験ゾーンの境界線

飛び越えたら最後道連れ

尖るナイフを心臓に刺して

溢れかえる世界はルージュの色

Baby boy 離れないで

この鼓動を 止めないで

君の心体全て 箱の中に入れてプレゼント

(ピーナッツくん)

四方八方囲まれてるスリザリオ

断ち切る肉骨までyummy yummy yo!

君と奪い合う この快楽

I make it fire 刻む カウントダウン

冷たくなる君の体温

目覚めるのはこれで最後

自分で進む先の迷子

ほんとおめでとう

(2人で)

Birthday party

it's surprising

Birthday party

キャンドルに灯る火にFu Fu

Birthday party

it's surprising

Birthday party

(月ノ美兎)

ドロドロになる君はJuice

(ピーナッツくん)

The day we gatta life

Bubble gum pops like a shotgun

生暖かい この触感 手探りで触る Doctor

レクター&ジョディフォスター

7月2日のベイビー

君にはこの日が命日

PCに映る like a 天神

今日は Birthday party

(月ノ美兎)

拍手が鳴り止むまで踊ろう

この時をいつまで待ってたよ

誰も近づけないふたりのワルツ

分厚くなったその皮を剥がす

もう二度とは戻って来ない君を

いつまでも見つめていたいのだよ

侵入 奥の奥

I'll try do hold you like a spider

(2人で)

Birthday party it's surprising

Birthday party キャンドルに灯る火にFu Fu

Birthday party it's surprising

Birthday party

(月ノ美兎)

ドロドロになる君はJuice

さよならバイバイ Good days

今日からはじめる New days

なんとも不穏なワードが各所に散りばめられていることが分かるでしょう。

まず結論から言ってしまうと、わたしはこの曲はVtuberの生と死」について語っている曲であると感じました。

んなわけないだろ、というツッコミは甘んじてお受けしましょう。

以下、その前提に基づいて歌詞を考察していきたいと思います(ガンギマリ)

未体験ゾーンの境界線

飛び越えたら最後道連れ

尖るナイフを心臓に刺して

溢れかえる世界はルージュの色

Baby boy 離れないで

この鼓動を 止めないで

君の心体全て 箱の中に入れてプレゼント

このパートではVtuberの世界」に飛び込む配信者(中の人)について歌っていると感じました。

  • 「未体験ゾーンの境界線 飛び越えたら最後 道連れ」 →画面上の2次元の世界・配信者という未知の世界に「自分」と「Vtuberとしての自分」という2人の人格を持って飛び込む。

  • 「尖るナイフを心臓に刺して」 →心臓=自分の大切なエピソードやアイデンティティVtuberの活動に捧げる。

  • 「溢れかえる世界はルージュの色」→ルージュ=赤色、つまりYouTubeアイコンの色。

  • 「君の心体全て 箱の中に入れてプレゼント」→箱の中、つまりPCやスマホの画面・配信「枠」の中に心と体の全てを入れる。

ちなみに委員長の1stワンマンライブのタイトルは月ノ美兎は箱の中」でした。

四方八方囲まれてるスリザリオ

断ち切る肉骨までyummy yummy yo!

君と奪い合う この快楽

I make it fire

刻む カウントダウン

冷たくなる君の体温

目覚めるのはこれで最後

自分で進む先の迷子

ほんとおめでとう

ここからはピーナッツくんのパートですが、この部分は視聴者側の視点で語られているような気がします。

  • 「四方八方囲まれてるスリザリオ 断ち切る肉骨までyummy yummy yo! 君と奪い合う この快楽」 →スリザリオやApexなど、視聴者も参加出来るゲーム配信でVtuberと遊ぶことの楽しさ。

ちなみに私はよく知らなかったのですが、スリザリオは姫プ(姫プレイ、対戦型ゲームなどで視聴者が配信者を助けたり甘く接すること)が起きやすいゲームのようです。

  • 「I make it fire 刻む カウントダウン」 →炎上させたり切り抜きを作る(切り刻む)のも視聴者の楽しみの一つ。

  • 「冷たくなる君の体温 目覚めるのはこれで最後」 →次第に活動が低調になっていく配信者、引退・卒業宣言をする人も出始める。

  • 「自分で進む先の迷子 ほんとおめでとう」 →おめでとう、が皮肉っぽく聞こえるのは迷走していくVtuberに視聴者が失望するのを表現しているのかも?

  • 「Birthday party it's surprising Birthday party キャンドルに灯る火に Fu Fu」 →誕生日配信や記念日・周年配信。

ちなみに、誕生日ケーキとキャンドルは古代ギリシャで祀られていた「月の」女神アルテミスへのお供え物が由来となっているそうです。

  • 「ドロドロになる君はJuice」 →ここだけ委員長が歌っている(配信者視点?)。つまり誕生日や記念配信を重ねるごとに配信者はネットの中に溶けていく、という暗喩。

The day we gatta life

Bubble gum pops like a shotgun

生暖かい この触感 手探りで触る Doctor

レクター&ジョディフォスター

7月2日のベイビー

君にはこの日が命日

PCに映る like a 天神

今日は Birthday party

このパートからは歌詞がかなり難解に、そしてさらに不穏になっていきます。

まるでホラーゲームの後半みたいだぁ(直喩)

  • 「The day we gatta life Bubble gum pops like a shotgun 生暖かい この触感 手探りで触る Doctor レクター&ジョディフォスター」 →キャリアを重ねていく中で、安っぽい曲を歌わされるVtuberや生まれることが出来ないVtuber、リスナーに怯えて引退してしまうVtuberもいる。

「Shotgun」はその前の「bubble gum pops(キャッチーで安っぽい、俗っぽい曲)」に掛かった言葉だと思うのですが、「Shotgun Marriage(望まない妊娠による結婚)」というスラングとも関係がありそうで、悩むところです。

特に直後の「生暖かい この触感 手探りで触る Doctor」は中絶手術を連想させる非常に不穏な歌詞であるため、「デビュー予定だったのにゴタゴタで頓挫してしまったVtuberの暗喩だと超深読みしてみました。

オタク、必要以上にグロテスクな考察をしがち。

またレクター&ジョディ・フォスター羊たちの沈黙というホラー映画からの引用ですが、レクター(博士)は役名であるにも関わらず、ジョディ・フォスターは俳優の本名です。

不思議に思って調べてみたのですが、どうもジョディ・フォスターは映画の撮影の際、殺人鬼である「レクター博士」役のアンソニー・ポプキンスとコミュニケーションが上手くとれず、キャラクターに引っ張られて撮影中も本気で怯えていたそうです。

つまり、視聴者とのコミュニケーションが上手くいかずに思い悩む「中の人」を表現しているのでは?と無理やり考察してみました。

  • 「7月2日のベイビー 君にはこの日が命日」 →ナッツの日です。ピーナッツくん、引退しないでね…。

  • 「PCに映る like a 天神 今日は Birthday party」 →天の神になる、つまり引退するVtuber?あるいは信者による過剰な崇敬?

拍手が鳴り止むまで踊ろう

この時をいつまで待ってたよ

誰も近づけないふたりのワルツ

分厚くなったその皮を剥がす

もう二度とは戻って来ない君を

いつまでも見つめていたいのだよ

侵入 奥の奥

I'll try do hold you like a spider

委員長の妖艶さと色気、そして儚さと危うさが混沌として混ざりあった素晴らしいパートです。

  • 「拍手が鳴り止むまで踊ろう この時をいつまで待ってたよ 誰も近づけないふたりのワルツ 分厚くなったその皮を剥がす」 →活動に疲れ、引退をもはや心待ちにしていたVtuberの心境?「拍手」は「88888」で埋まったコメント欄。「もう1人の自分」と2人だけで向き合い、Vtuberとして活動する中で何重にも被せられたキャラ付けを少しづつ剥がしていく。

  • 「もう二度とは戻って来ない君を いつまでも見つめていたいのだよ 侵入 奥の奥 I'll try do hold you like a spider」Vtuberは活動を停止しても立ち絵やデザインは残り続ける。spider(クモ)は糸の網(ネット)で捕食対象を抱きしめ、中身をドロドロに溶かして吸い取り、皮だけを残す。同じように「インターネット」という網の奥に引っかかったVtuberは、たとえ中身がなくなってもガワ(皮)だけは残る。

ここに至って、もはや委員長の視点は配信者を超えてインターネットと同化しているようにも見えます。

また「見つめていたいのだよ」という口調は委員長らしさがよく出ていてとてもキュートです。

  • 「さよならバイバイ Good days 今日からはじめる New days」 →かつてのVtuberとしての活動を「良き日」の思い出として振り返る「中の人」。転生するか、あるいはVtuberとは違う全く別の人として次の人生を歩んでいく。

まとめ

いかがでしたか?(クソまとめブログ)

書いてるうちに論理がドンドン飛躍して訳分からん感じになってしまいましたが、仮にこじつけであったとしても、これだけ考察の余地があるというのは素晴らしい曲である証拠です。

オタクの心を掴むのが上手いとも言えます。

実は委員長自身も「超オシャレでグロテスクで…」とこの曲を形容しているので、ヤバい曲であることは間違いないです。

2018年のVtuber創成期から第一線を走り続けてきた2人だからこそ、「今」この楽曲を歌う意味があるように思います。

私は兼ねてからピーナッツくんと委員長のコラボ曲を熱望してきましたが、このような最高の形で実現したことに感無量です。

ピーナッツくん…委員長にこんなヤバい歌詞を歌わせてくれてありがとう…

▼委員長についてはこちらの記事もどうぞ(隙自宣)

ブバブボには他にも素晴らしい曲があります。

というか、捨て曲なしの神アルバムです。

個人的なお気に入りは142crawzとのコラボ曲である「Wha u takin bout」、哀愁とハングリー精神に満ちた「not ok」などですが、他にもdocomoの料金プラン「ahamo」とのタイアップ曲「ぼくたちにEarthはない」、帰ってきたレオヤギと共演した「Hanged Man」、MVが公開されている「Squeeze」、ピーナッツくんがトラックも制作した「Liminal Shit」など…

ああヤバい!このままだと全曲紹介する羽目になってしまう!

とにかく素晴らしいアルバムですので、少しでも多くの人に聴かれて欲しいです。

あくまで個人的な感覚としてですが、今回の「ブバブボ」はピーナッツくん史上ベストのアルバムだと思っています。

ピーナッツくんが抱えている「やりたい事」にようやく本人のスキルや周囲の理解が追いついてきたようなイメージでしょうか。

特に楽曲の幅は活動初期と比べると見違えるほど広くなっており、幅広い層にアプローチできるポテンシャルが付いてきたのではないかと思います。

「アーティスト」として飛躍し続けるピーナッツくんの今後から目が離せません。